2020年度登山学校スタッフ研修実施報告

<第1回Skype研修>

日時:5月9日(土)14:00~16:00

テーマ:山の天気No.1

研修内容:地上天気図、高気圧と低気圧、前線、等圧線と風、雲ができる3要素

<第2回Skype研修>

日時:5月17日(日)14:00~16:00

テーマ:山の天気No.2

研修内容:高気圧の種類、低気圧の種類、危険な低気圧(発達する低気圧)、低体温症、落雷

<第3回Skype研修>

日時:6月7日(日)14:00~15:30

テーマ:気象予報サイトの使い方No.1

研修内容:①気象庁(実況天気図、予想天気図、気象衛星画像、降水短時間予報、

     レーダーナウキャスト、ひまわりリアルタイムWeb、等)

     ②Mountain Weather Forecast(標高毎に山頂までの3時間毎の気象情報)

<第1回実技研修>

日時:6月21日(日)

山行ルート:明智越(保津峡~高瀬山~土用の霊泉~明智越~亀岡)

研修テーマ:読図とロープワーク

 ①    読図:3班に別れて地図読みをしながら、「展望台」まで歩く。

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 ②    ロープワーク:「展望台」から「明智越」を下る途中で以下の2つのケースを想定して    実施。
  a)急斜面のトラバースで張ったフィックスロープを簡易ハーネスで自己ビレイして通過。
 ロープワークの種類:ダブル・フィギュア・エイト・ノット、クローブ・ヒッチ、
           マッシャー、フィッシャマンズ・ノット、カウ・ヒッチ
  b)急斜面を簡易ハーネスとロープを使って登下降。
 ロープワークの種類:ムンター・ヒッチ、ダブル・フィギュア・エイト・ループ、
           カウ・ヒッチ

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<第4回Skype研修>

日時:7月18日(土)14:00~15:30

テーマ:高層天気図下記についていくつかのサイトとP.P資料で説明。

<高層天気図はなぜ必要か?>

  1. 地上天気図では得られない情報が有る。

  2. 地上天気図では確定できない情報を確認する。


<地上天気図は得られない情報>

  1. 気圧の尾根と谷 ⇒ 低気圧の発達度合い

  2. 高層の気温 ⇒ 大気の不安定度、雨・雪の判断、落雷のリスク、防寒対策

  3. 高層の風向と風速 ⇒ 転滑落のリスク、防寒対策、雨・雪の判断(海からの風)

  4. 相当温位 ⇒ 豪雨、雷雨、落雷のリスク(6月~8月)

 

<地上天気図では不確定な情報(例)>

  1. 夏の太平洋高気圧の勢力範囲

  2. 春や秋の移動性高気圧が連続(帯状高気圧)するかどうか?

  3. 冬の寒波の強さや、それが何時迄続くのか?


<使用する高層天気図>

    500hPa(上空5,500m、冬5,300m~夏5,900m)⇒ 等高度線と等温線

    700hPa(上空3,000m)⇒ 等温線と風、及び湿数

    850hPa(上空1,500m)⇒ 等温線と風、及び相当温位

<第2回実技研修>

日時:8月30日(日)

山行ルート:JR「保津峡」~(ツツジ尾根)~荒神峠~水尾別れ~愛宕山~(大杉谷)~清滝

研修テーマ:熱中症対策と突然の雷雨への対応 

当日の平地の最高気温は37℃予想。熱中症にならないよう、

     ①    水分と塩分をこまめに補給すること

     ②    熱産生を抑えるためゆっくり歩くこと

     ③    適度に休憩を取ること

又、大気不安定で起こる雷雨に対応するため、

     ①    雨雲レーダー、雷レーダーで積乱雲の発生と位置を確認すること

     ②    観天望気で雲の発達度合いや動きを確認すること 

全員、頭から水をかぶったように汗だくになりながら予定より30分遅れて「清滝」に無事下山した。又、予想通り昼過ぎから空模様が怪しくなったが、幸運にも積乱雲は「愛宕山」のやや東⇒南西へ抜けていったため雷雨を避けることができた。

大杉谷に向かう分岐

大杉谷へ向かう分岐にて

<第5回Skype研修>

日時:9月26日(土)14:00~15:30

テーマ:「ヤマテン」の「専門・高層天気図」の見方

様々な天気図からどのような情報が読み取れるのかについて実際のサイトを見ながら説明した。 

  1. 「地上天気図」から降水の推移、降水量、時間
  2. 「気温と風」から500hPa(高度5,500m)、700hPa(高度3,000m)、850hPa(高度1,500m)の等温線と風速・風向 ⇒ 雨か雪かの判断や大気不安定による雷雨を予想
  3. 「高度・渦度」から高度5,500mの気圧の尾根と谷 ⇒ 天候の悪化と好転を予想
  4. 「相当温位」から暖かく湿った空気の流れと位相 ⇒ 天候の悪化を予想
 合わせて、気象庁の天気図から前線と寒冷低気圧が大気不安定を引き起こし荒天となることも説明。

<第3回実技研修>

日時:10月4日(日)

山行ルート:唐櫃越(JR「馬堀」~みすぎ山~P404~沓掛山~丁塚~阪急「上桂」)

研修テーマ:ロープワークの復習(フィックスロープの張り方と使い方。簡易ハーネスの作り方)

使用したロープワーク:ダブルフィギュア-エイト、ダブルフィッシャマン、クローブヒッチ、マッシャー 

JR「馬堀」に8:30に集合。日本海の前線の影響で高曇りの中を登山口に向けて出発。「みすぎ山」への標高差250mの登りの後は、尾根歩きとなり12:05に「沓掛山」に到着し昼食休憩となる。昼食後、ロープワークの練習をして14:55「丁塚」に下山した。

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沓掛山にて

<第4回実技研修>

日時:10月25日(日)

山行ルート:大原三山(古知谷~焼杉山~翠黛山~金毘羅山~江文神社)

研修テーマ:負傷者の搬送(素手による搬送と装備を使う搬送)

使用する装備:三角巾(2枚)、クイックドロー(2本)、ソウスリング(120cm、1本)、

                    カラビナ(1枚)、ロープ(10m、1本)

ロープワーク:ボーライン・ノット、インライン・フィギュア-・エイト・ノット 

今回の参加者は5名。国際会館8:52分発のバスで「古知谷」に到着し、9:30に登山スタート。秋晴れの下、絶好の登山日和となったが「焼杉山」への登山道は倒木が多く、迂回を必要とする箇所や急登が有り、途中休憩を取りながら11:25に「焼杉山」に到着。参加人数が少ないので、実技研修は次回以降に行うことにして、昼食後に装備の使い方だけを説明して「翠黛山」へ向かった。腰の違和感を訴える参加者が出たため、「翠黛山」との中間地点にある分岐からエスケープして13:20に「大原」へ下山した。登山には、天候の急変やメンバーの体調不良でエスケープや引き返しが必要となることがある。このような場合に備え、計画段階でエスケープルートや引き返しポイントを確認しておくことが大切で有る。今回の場合のエスケープルートは以下の3カ所。

  1. 「焼杉山」⇒「大原」下る谷筋
  2. 「P474」⇒「大原」へ下る谷筋 (今回のエスケープ)
  3. 「翠黛山」⇒「大原」へ下る尾根筋

焼杉山にて

<第5回実技研修>

日時:11月15日(日)

山行ルート:峰床山 970m 府内第2位の高峰      

                 二ノ谷管理舎P~峰床山~八丁平~クラガリ峠~フノ坂峠~P

研修テーマ:秋山登山を安全に楽しむための注意点      

               ・汗冷えを防ぐ服装選び レイヤリング      

               ・コースタイムや現在地の確認      

               ・落ち葉の積もった登山道での注意点 歩き方の姿勢 

山頂からの眺望と紅葉期の八丁平を楽しむために峰床山に登る。

今回の参加者は8人。三条京阪からマイカーに乗り合わせ、尾越の二ノ谷管理舎駐車場を目指す。所要時間は約1時間。9時に登山口をスタートし、山頂へは10:45に到着。二等三角点のある山頂は広くて眺望も良く、南方面に府内最高峰の皆子山、西南方面に愛宕山、東方面に比良山系の山々が見渡せる。山頂から山座同定を楽しみつつ、ヘリポート上空でのヘリの訓練が珍しくて見入ってしまった。八丁平の散策路に下り、落ち葉を踏みしめながら歩く。鮮やかに色付いた広葉樹、青空に映えるマユミの赤い実、陽だまりの中で晩秋の紅葉を満喫しながら、森林保護活動によって防鹿柵の内側の植生が回復していることも確認する。14:55 Pに下山。

峰床山山頂にて周囲の山々の山座同定


鮮やかに色付いた広葉樹(写真左・中)、青空に映えるマユミの赤い実(写真右)

<第6回実技研修>

日時:12月12日(土)

登った山:皆子山(京都府最高峰で標高972m)

山行ルートと時間:「平」バス停(8:35)~P837(9:35)~P941(9:50)~皆子山山頂(10:15)~P926(10:50)~P889(11:20)~P819(11:45)~百井川(12:15)~三谷峠(12:55)~P812/途中峰(13:40)~P762(14:05)~P624(14:35)~花折峠(14:50)~「平」バス停(15:10)

研修テーマ:「平」⇒「堅田」へのバスが一本(15:56発)しかないため、通過ポイント毎に設定した時間通りに歩く。 

「平」⇒「皆子山」山頂までは登山道がはっきりしていて、設定時間より15分早く到着。ここから先の西尾根は地形図にも登山道の表示が無く、様相が大きく変わる。取り付く尾根を間違わないように地形図とコンパス、そしてGPSで現在地と進行方向を確認しながら進む。この頃には北西方向には雨雲が迫り、やがて弱い雨が降り始めた。この日は弱い冬型の気圧配置で、日本海を渡ってくる北風によってできた雨雲である。「百井川」に架かる橋を渡って「三谷峠」を目指すが、この南側の登山道は、全く人が歩いた痕跡が無く、落ち葉をラッセルしながら進む。そして、「三谷峠」からは尾根を東に向かって進むため、冷たい北風を真面に受けながら進む。「花折峠」には設定時間通りの14:50に到着。ここからは舗装路と車道を歩いて、予定より15分早く「平」バス停に到着した。

皆子山山頂

皆子山山頂

皆子山から武奈ヶ岳

左:皆子山から武奈ヶ岳を望む           右:滑りやすい落ち葉の上を慎重に下る

<第7回実技研修>

日時:2021年3月7日(日)

山行ルート:京都一周トレイルからつながる西山連峰
善峯寺登山口~釈迦岳(630.8)~ポンポン山(678.9)~大原野森林公園森の案内所~

小塩山(642)~正法寺~南春日町BS

研修テーマ:京都西山の春の自然に親しむ
      ・ポンポン山フクジュソウ保護区で花の観察をする
      ・小塩山カタクリ保護区の下見をする
      ・里山の自然環境保全に携わるネットワークの活動を知る

初春のポンポン山は、向日町駅発善峯寺行きのバスが増発されるほどの人気。登山者の目的は西尾根コースの保護区に咲くフクジュソウ。3月に入れば見頃もほぼ終わりになるが、お昼の陽だまりの斜面では、思いっきり花びらを広げて待っていてくれた。こじんまりとした自生地で管理人さんによって保護されているが、年々数が少なくなっているように感じる。

薪ストーブの心地よい温もりある大原野森林公園森の案内所で昼食をとり、小塩山に向かって登り返す。

淳和天皇陵右から入っていくカタクリの保護区「御陵の谷」では、ひと月先の開園に向けて準備作業をされていた。「二枚葉が芽吹き、蕾が観られた。4/14頃には開花するだろう。」という情報を頂く。

天皇陵道ルートで下山後、正法寺境内の立派な梅園を通る。いち早く春の訪れを知らせてくれる梅の花と香りも楽しめた。

いつもは比叡山から眺めている西山側から、比叡山、横高山、水井山が際立つ東山~北山コースを眺め返す。京都一周トレイルコースの魅力を改めて感じる。

善峯寺登山口(9:35)~釈迦岳(10:30)~ポンポン山山頂(11:05)~

フクジュソウ保護区(11:40~12:00)~森の案内所(12:45~13:10)~

小塩山山頂(14:05)~正法寺(15:40)

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左:至るところで満開の馬酔木        右:北の方角に愛宕山と地蔵山

左:フクジュソウ         右:ネコノメソウ

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左:倒木の残る小塩山山頂にて        右:ギンリョウソウ

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左:椿と桜(正法寺)            右:梅(正法寺)

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