こちらは2019年の活動記録です

「登山学校・基本コース」
 第3回[第3コース/テーマ:山の天気]
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第3回の参加者(班ごとに撮影。「ケーブル比叡」駅で)

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茶山の尾根道

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ストックの使い方を学ぶ(石鳥居で)
 事前の天気予報では激しい雨の予報だったが、日が迫るにつれだんだんと弱くなり、当日の朝は曇りところによって小雨に変わった。
  八神社に集合した時には取りあえず上がっていた。天候には恵まれるはずの登山学校のジンクスに、文字どおり雨雲が漂う実習登山となった。参加者49名とスタッフ・サポーターの17名を合わせた56名で6班編成となり、尾松校長による朝礼ののち出発する。事前の雨対策をしたり前もってカッパを着ている人など、なかなかカラフルな行列の行軍である。
 今日は、銀閣寺前より北白川の市街を抜けて「ケーブル比叡」駅までの長い登りが連続するコースで、毎年この梅雨時で蒸し暑く辛い登山となるが、全コースの中で一番試練の場でもありこれを乗り越えれば後のコースの印象も自然と楽になるはずである。雨上がりのぬかるんだ山道も歩きにくさをさらに増し、前回習った歩き方の練習にはもってこいの好条件となる。皆さんの努力の見せどころとなるだろう。
 出発して間もなく、白川と疏水が交差するところで水が混ざらないよう構築されている話を聞く(疏水側がサイフォン式)。琵琶湖疏水の事業に関連した二次的な構造物で、自然の河川(白川)との共存のための知恵を明治時代の技術者が絞り出したものだ。北白川の街並みを過ぎ、日本バプテスト病院の横から山道に入って大山祇(おおやまづみ)神社へのルートで本殿へ。
 足元の白い砂に目をとめ、この辺りは花崗岩の石切場と白川砂の採取地であったことを知る。標識56-2から尾根づたいに、茶山・白幽子隠棲跡を通過。三十六童子石像を見ながら瓜生山へ到着し小休止する。狸谷谷不動尊との関連話を聞いたあと昼食場所の石鳥居へ進む。
  昼食後、石鳥居広場でストックの使い方の実習を行う。ストック各部の呼び名や調整・機能・手入れの方法など説明を聞き、スタッフによる悪い例の紹介や基本的な動作の実演が行われた。つづいて各班毎に分かれ、各自持参の違った型ごとの取り扱いを教わって歩行訓練となる。なれない人は、最初のうちぎこちない動作でギクシャクしていたが、個別に指導を受けるうちにそれなりの形になってきた。アレッ? そこの人! 右手右足が同時に同方向に動いてますよ。みんな爆笑のうちに時間が過ぎ、出発の時刻となる。
 練習を始める前から降り出した雨にみんなカッパを着込み、そのままで次に進む。なれないストックをどうにかさばきながら、濡れた登山道を前回習った歩き方を思い出し、額に汗して午後一番の三本の川渡りを木橋を使って通過するもののとても滑りやすい。ストックの効果をまざまざと見せつけられる。
 渡渉の後は本コースの最大の難所、ゴールまで急登の連続である。歴史的な水飲対陣跡碑を過ぎた眺望が良い場所でカッパを脱ぎ、ホッとしながら京都市街を眺めて一息つく。比叡山修行僧の外界との境界となる浄刹結界跡を見て、修行の辛さを身に染みて思い知らされる。気合いを入れ直し登りつづけるが、額から滴り落ちる汗は止まるところを知らない。
 やがて、昨秋の台風の爪跡が残る倒木の山と化す地域に入る。みんな息をのみ一瞬立ち止まる。山道はかなり手入れされ通過できるようにはなっているものの、惨事のすごさを肌で感じないわけにはいかない。目の前 の景観に鳥肌が立つ思いである。そこからは最後の急登で頑張りどころだ。
 ハア〜ハア〜言いながら歩いてるうちに、ふと顔を上げるとなんと人工物が目に入る。頭上のコンクリート造りの壁と横は軌道。そこに「ホワ〜ン」と汽笛のようなケーブルカーの警笛である。とうとうゴールに到達した。各班毎にス トレッチを行い、ミーティングと反省や質疑応答で班行動を終了する。全員集合で校長の終礼と事務局の連絡事項が終わり、ほぼ全員がケーブルカーで下山し解散となった。
 今日の山行は初心者にとっては悪条件が重なる辛い実習登山となったであろうが、このような場面は実際の登山ではよくあり、参加者にはよい経験になったことと思う。いろいろ経験し、雨風や寒暖への対応力を身に着けて安全登山を行い、帰宅後に振り返るよい思い出づくりにつながってほしい。(K.K)


《時間記録》  八神社(9:25)〜瓜生山(11:10)〜石鳥居(昼食とストック講習=11:25〜13:40)〜浄刹結界跡(14:20)〜「ケーブル比叡」駅(15:30、解散=16:00)
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